〜まさに気分は列車の運転士〜吾妻峡レールバイク「アガッタン」を体験

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更新日: 2023年02月20日

群馬県東吾妻町では、2014年に切り替え廃止となった旧JR吾妻線の線路の一部を活用したアトラクションがあります。その名も吾妻峡レールバイク「アガッタン」。2人一組や3人一組になって、マウンテンバイクと2軸4鉄輪台車を組み合わせた自転車型トロッコをこぎながら景色を楽しめるユニークな乗りものとなっています。実際にアガッタンを体験しに行ってきました!

 

 

出発の15分前までに受付を!

日本一短かった鉄道トンネルで有名な「樽沢(たるさわ)トンネル」や最新式のダム「八ッ場ダム」の風景が楽しめる区間約2.4kmの「渓谷コース」に乗車しました。アガッタンは空きがあれば当日も乗車可能ですが、前日までに予約する方が必ず乗れるので、おすすめです。

 

事前に乗車の説明を受けるため、出発時刻の15分前までに受付「吾妻峡周辺地域振興センター」に集合しなければなりません。15分前までに到着できない場合は、キャンセル扱いとなってしまうので、気をつけてくださいね!自転車型トロッコの漕ぎ方や注意事項を聞いた後、受付場所から徒歩3分のところにある発着場「雁ヶ沢駅」に参加者全員で向かいます。

 

 

野生のサルが出没する山間部の自然を味わえる

ちなみに、アトラクション名「アガッタン」とは、東吾妻町の「あがつま」と「ガッタン」という擬音を掛け合わせた造語となっています。今回、乗車するのはこちらのトロッコ車両です。真ん中には人が座れる仕組みになっており、2人一組もしくは補助椅子を使って3人一組で乗車します(4人1組の乗車も可能となりました)。自動アシスト付きなので、小さなお子さん(身長130cm以上)や体力に心配のある方でも気軽に運転することができますよ。

 

さっそく乗車して、雁ヶ沢駅からゴール地点の八ッ場ダムまで向かいます。今回は、3人一組のトロッコ車両を使うことにしました。同行してくれたのは、東吾妻町地域おこし協力隊の小川さん。

 

小川さんは2年前に東京から東吾妻町に地域おこし協力隊として移住し、アガッタンの企画に携わってきました。受付に貼ってあるアガッタン公式ポスターも小川さんがデザインしたもの。モデルは1名を除いて、東吾妻町の方だそう。味があってとてもかっこいいです!

 

さっそくスタートすると、レールの継ぎ目から伝わってくる「ガタンゴトン、ガタンゴトン」という音が一帯に響いてきました。自転車を漕ぐのも思ったより楽で、夏の風の中を颯爽と進みます。

 

出発してすぐ、山側に野生の猿が見えました。以前、この辺りでは猿が出没し、住民の畑を荒らすことも多かったとか。しかし、アガッタンが出来てからというもの、レールの大きな音に猿が怖がり、出没が減ったといいます。アガッタンが猿対策にもなったとは驚きです。走行中に、もし野生の動物が出ても食べ物は絶対にあげないでくださいね。

 

また、走行中は一番後ろからスタッフの方が専用バイクで着いてきてくれるので、自転車の故障時など、何かあればすぐにかけつけてくれますよ。

 

 

踏切にご注意ください

2014年9月まで使われていた線路には、今もまだ多くの鉄道関連設備が当時の状態のまま残されています。石積みの橋脚がとてもレトロな「平沢橋梁」を越えると、渓谷コース内唯一の踏切である「松谷上組踏切」が見えてきました。「今も住民の方がお寺に行く時に使うことが多いので、踏切前は一時停止で、左右をよく確認してくださいね」と小川さん。「アガッタン」が町の一部になっている光景ですね。

 

踏切を過ぎると、右手に小さなお堂「十王堂」が見えてきます。

 

十王堂を過ぎると、線路が右に左にS字カーブする道になりました。集落がちらほら見えていた辺りも、静かな田園風景に変わってきます。少し車体が傾き、足に力を入れていると、「もうすぐトンネルですよ」と小川さんが励ましてくれました。トンネルを心待ちにし、頑張って漕ぎます。

 

 

最高の爽快感!トンネルの中を漕いで行く

楽しみにしていた渓谷コースの第一トンネル、長さ104m「松谷トンネル」に入ります。この先からは一般車は進入禁止のため、アガッタンでしか見ることができない貴重な光景です。松谷トンネルに入った瞬間、「冷たい!」と思わず叫んでしまいました。トンネルの中は冷蔵庫のようにひんやりとしていて、上から落ちてくる水滴が肌にあたって気持ちがいいです。トンネルに入っただけで、一気に身体を冷やすことができました。

 

松谷トンネルを抜けると、今度は第二のトンネルで、「日本一短かった鉄道トンネル」として有名な「樽沢トンネル」に入ります。樽沢トンネルは、1946年の長野原線開通と同時に完成され、山の出っ張りを掘り抜いて作られました。

 

樽沢トンネルの上にはひとつ立派な松の木が立っていたので、小川さんに尋ねてみると、「本当かどうかは分かりませんが、当時の建設者はこの松の木を残すために、ここを崩さずトンネルにして景観を守ったそうです」との返事が返ってきました。小さなトンネルにそんな大きな物語があったんですね。真実がどうなのか気になります。

 

樽沢トンネルを一瞬で抜けると、あっという間に最後のトンネル「道陸神(どうろくじん)トンネル」に。このトンネルは長さ432mと、3つのトンネルの中でも比較的長く、撮影の絶好のチャンスとなっています。ちなみに、「道陸神」というのは、「道路の悪霊を防いで旅人を守護する神」の意味のこと。心の中で今回の旅が無事終わりますようにと願いながら、中に入っていきました。トンネル内の迫力に圧倒されます!まさに気分は列車の運転手です。

 

 

最新式のダム「八ッ場ダム」の見学も可能

道陸神トンネルを抜けると、八ッ場ダムが見えてきました。頑張って最後まで漕いだご褒美には、こんなに近くでダムを見ることができます。ダムってなかなか見る機会がないので、大興奮です!

 

スタートから約15分。ゴール地点または、転回場でもある「吾妻峡八ッ場駅」に到着しました。下りのため、出発時刻までスタッフの方が自転車型トロッコの方向転換をしてくれます。その間、前にある「八ッ場ダム」や国指定名勝「吾妻峡」の大蓬莱(※大蓬莱については、道がないので見学はできません)(写真右)を見学できます(帰りの出発時間に余裕を持って見学してください)

 

2020年4月に完成した八ッ場ダムは、ダム内にあるエレベーターで上まであがれます。もしアガッタン体験と合わせて八ッ場ダムを見学したい方は、行きは「渓谷コース」で八ッ場ダムまで来て、ダムを見学して帰ることも可能です。また、ダムの上に駐車場があるのでそこに車を止め、アガッタンを利用することもできますよ。アトラクションとダム見学を一度に楽しめるなんて、「アガッタン」だからこそ出来る嬉しい体験です。

 

 

下りは自分のペースで楽しんでください

そうこうしている間に戻りのルートの出発時刻になりました。戻りは他の参加者の方も余裕が出たのでしょうか、ゆっくりと景色を楽しんでいる様子に見えました。こちらのコースでは、行きと戻りは同じルートを通るのですが、景色を2倍楽しむためにも座席を交換するのがおすすめです。座席が違うだけで、全く違う景色を堪能できますよ。

「記念に」と、思わず写真をたくさん撮ってしまっているうちに、到着地点の雁ヶ沢駅に戻ってきました。往復の所要時間は約45分。本当にあっという間でした。

 

冬の休業期間(12月中旬~3月)以外は、一年中楽しめるこちらのアトラクション。特におすすめなのは紅葉を楽しみながら乗車できる秋の時期なんだとか。地元の方とも交流でき、東吾妻町の歴史も学べるアトラクション「アガッタン」。ぜひこの機会に周りのご家族やご友人を誘ってみてはいかがでしょうか?

 

 

【インフォメーション】

吾妻峡レールバイク アガッタン

〒377-0814 群馬県吾妻郡東吾妻町松谷868−1

TEL(営業日):0279-26-9431 (東吾妻町吾妻峡周辺地域振興センター)

TEL(営業日以外・土日祝日は対応不可):0279-68-2111 (東吾妻町役場まちづくり推進課)

定休日:基本 火・水・木  夏休み期間・紅葉時期 水・木 ※冬季休業(12月中旬~3月)

料金:3,000~3,500円(保険料込)一乗車(片道)/一台あたり

営業時間:8:30〜17:15(乗車可能時間ではありません)

https://agattan.com/

※コロナによる休業情報はホームページを確認してください。

 

 

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。お越しの際は事前にご確認いただくことをおすすめします。

 

 

※2023年1月時点の情報です。